外国人受け入れ機関についてとその責務


簡単に言いますと、外国人を受け入れる雇用先の企業がこれにあたります。
当然、受け入れるだけの機関ではなく、それぞれの基準に適合しなければなりません。その基準が以下の通りです。

(1)受入れ機関が外国人と締結する契約が所要の基準に適合することが必要(法第2条の5第1項)
・報酬額は、日本人が従事する場合の額と同等以上であること
・一時帰国を希望した場合、休暇を取得させること
・外国人が帰国旅費を負担できなければ、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされる措置を講ずること など

(2)適格性に関する基準・受入れ機関が満たすべき基準(法第2条の5第3項)
・労働関係法令・社会保険関係法令及び租税に関する法令を遵守していること

・特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

・行方不明者を発生させていないこと

・欠格事由(前科、暴力団関係、不正行為等)に該当しないこと

・労働者派遣をする場合には、派遣先が上記各基準を満たすこと

・保証金を徴収するなどの悪質な紹介業者等の介在がないこと

・報酬を預貯金口座への振り込み等により支払うこと

・中長期在留者の受入れを適正に行った実績があることや中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する職員が在籍していること等(※)

・外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること(※)

・支援責任者等が欠格事由に該当しないこと(※)など

(注)上記のうち(※)を付した基準は登録支援機関に支援を委託する場合は不要です。

(3)支援体制に関する基準(特定技能1号外国人材の場合に限る)
・支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること等

よく日本人の賃金以下の賃金で雇うことができるかもしれないと誤解があるのですが、そんなことはありませんので注意が必要です。
上記であげたように同等以上が求められています。
ここでは特に(3)が一般的には専門的な業務になると思われます。これを特定技能所属機関では補えないこともあると想定されます。
外国人の方を直接雇用できるようになった反面、生活などの必要不可欠な支援を受け入れ機関様(雇用主)が行わなければなりません。その特定技能の外国人の方の日本での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上又は社会生活上の支援を行うことを目的とされています。
支援の費用は受け入れ機関様負担が原則化しております。
支援の内容は以下のとおりです。

外国人支援の内容
①事前ガイダンスの提供
②出入国する際の送迎
③適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援
④生活オリエンテーションの実施
⑤日本語学習の機会の提供
⑥相談又は苦情への対応
⑦日本人との交流促進に係る支援
⑧非自発的離職時の転職支援
⑨定期的な面談の実施・行政機関への通報

ここで外国人支援等に関する部分を、全部の実施を委託することができます。(改正法第19条の22第2項)
ここの委託先が「登録支援機関」となります。

外国人の支援が難しい場合

上記であげた支援が難しい場合は、すべて必ず受け入れ機関(雇用主)が行わなければならないわけではありません。原則は雇用主の責務においてする必要がありますが、例外的に支援部分全部を委託することができます。その委託先が登録支援機関という組織です。
登録支援機関様に申請希望の方は届出が必要です。

登録支援機関について

外国人の方を受入れ機関にて直接雇用できるようになった反面、生活などの必要不可欠な支援を担保するための機関です。つまり支援部分をこの登録支援機関に委託可能ということです。その特定技能の外国人の方の日本での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上又は社会生活上の支援を行うことを目的とされています。ちなみにここで登録支援機関が必要とされるのは特定技能は1号のみとされています。
その登録支援機関については要件を満たす必要があります。
登録申請手数料は新規時に28,400円、更新時に11,100円が出入国在留管理庁へ納める必要があります。
登録要件に関しては下記の通りです。

登録の要件
支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
以下のいずれかであること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
・上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
刑罰法令違反による罰則(過去5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないことなど

※中長期在留者とは「短期滞在」等の在留資格を除く、中長期間在留する外国人をいい、在留カードを所持している者

受け入れ機関(雇用主)の届出について


郵送または持参により、管轄する地方出入国在留管理局又は支局に届け出る必要があります。
その届出の内容が下記の通りです。(届出期間がございますので御注意ください。)
なお、インターネットでの届出については、出入国在留管理庁のシステム対応が終了するまでは対応不可のようです。
時期に関しては随時HPに公開される予定となっています。

必要な届出
①特定技能雇用契約を変更、終了、新たに締結した場合の届出
②1号特定技能外国人支援計画を変更した場合の届出
③支援の委託契約を締結、変更、終了した場合の届出
④受入れが困難となった場合の届出
⑤出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行った場合の届出
⑥特定技能外国人の受入れに係る届出
⑦支援の実施状況に係る届出
⑧特定技能外国人の活動状況に係る届出があるところ①ないし⑤の届出については届出事由が発生した場合には随時、⑥ないし⑧については4半期に一度の定期に届出

登録支援機関の届出について


郵送または持参により、管轄する地方出入国在留管理局又は支局に届け出る必要があります。
その届出の内容が下記の通りです。(届出期間がございますので御注意ください。)
なお、インターネットでの届出については、出入国在留管理庁のシステム対応が終了するまでは対応不可のようです。
時期に関しては随時HPに公開される予定となっています。

必要な届出
①登録事項に変更が生じた場合の届出
②支援業務の休廃止に係る届出
③支援の実施状況に係る届出があるところ①及び②の届出については届出事由が発生した場合には随時、③については4半期に一度の定期に届出

まとめ


最後までお読みいただきありがとうございます。
単純労働ができる外国人の方を雇いたいと考えても、「支援」が必要であることが言えます。
この「支援」をするためには特定技能所属機関が支援を行えればよいのですが、負担が大きい点もあり委託される場合は「登録支援機関」を間に挟まないといけなくなります。
「登録支援機関」は所要の基準を満たした上で出入国在留管理庁長官の登録を受けて支援を行うものとなっています。
その所要の基準等はまだ決まっていませんが、なかなかのハードルの高さかと思われます。
悪質な紹介業者の介在防止策としては当然かもしれません。
京都の行政書士/行政書士こいずみ事務所では「登録支援機関」についての相談も承っております。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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近畿圏内でない方も御相談頂ければ対応させて頂きます。