(仮称)育成就労制度について(技能実習制度から育成就労制度へ)について申請取次行政書士が説明。
育成就労制度とは
現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、日本の社会の人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする新たな制度となります。
これまでの技能実習制度とは大きく異なる点が、「人材確保と人材育成」にあります。この制度とよく似た在留資格が特定技能です。後述しますがこの特定技能とは大きくかかわりがでてきます。
まだ提言がされた段階なので、ここから本格的に提言をもとに制度設計されると思われます。
人手不足を補うために新設される制度と言えます。
方向性について
日本という国を外国人さんに選ばれるように「技能」「知識」を向上させ、人権保護にも念頭に置きながら、この育成就労制度から特定技能制度へのスムーズな移行を図ることが、この育成就労制度の在り方です。
今までの事件等を考慮した形で「外国人の人権擁護」した上で「外国人のキャリアアップ」を促し、「共生していく」社会作りがこの制度の目的と言えます。
育成就労制度と特定技能制度の関係性
育成就労制度は基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成することを前提で運用していく制度です。育成就労制度は特定技能への移行をスムーズに行うための育成制度とも言えます。ということは、育成就労制度は特定技能制度へのステップアップ制度と考えると、対象職種は自ずと特定技能制度と一致していくことが容易に想定できます。
特定技能制度へは、現状
①技能実習制度において技能実習2号を良好に終了した者
②技能試験をパス、日本語試験をパス
この2ルートがありました。
それが、今後は、
技能試験をパス、日本語試験をパスの「試験合格ルート」しかなくなる形になります。
今回の改正(予定)は、技能実習制度に大きなメスを入れ「育成就労制度」と名を変え、特定技能制度は現行のまま制度は残して制度の適正化を行っていく流れになります。
※現在の技能実習制度で企業単独型の技能実習の場合、新制度の趣旨や目的に沿うものは、監理等の適正化を図った後、引き続き実施することが可能。
育成就労制度から特定技能制度へのスムーズな移行、今後特定技能2号分野も広がれば、外国人の方が働ける環境は益々大きくなるものと考えられます。
今後、技能実習制度を運用している法人様や、検討されている事業者様にとっては、大きな転換期にきています。
育成就労制度の受け入れ対象分野
育成就労制度での受け入れ分野は、現行の技能実習制度の分野をそのまま引き継ぐのではないとされています。
基本、育成就労制度は特定技能制度へのスムーズな移行を目的にしているため、必然的に特定技能制度の受け入れ分野に限定してくることになります。(制度になじまない分野は対象外になる)
受入れ機関が外国人に対し
①育成開始から1年経過時までに
「技能検定試験基礎級等」「日本語能力試験N5相当」の試験の受験をさせる必要がある。
②育成終了時までに
「技能検定試験3級等」「日本語能力試験N4相当」の試験の受験をさせる必要がある。
※なお合格まで求めるかどうかについては現段階では不明となります。
受け入れの見込み数
特定技能制度同様に、各分野に応じて受け入れ上限数が設定される見込みとなっています。
これは、育成就労制度は人手不足の分野の人材確保を目的の一つとしていることから、無尽蔵に人材を流入すると日本人の雇用喪失や待遇低下を招きかねない結果になる恐れがあるため、一定の見込み数という条件を付したものになります。
特定技能制度とかなり似通った制度に見えます。
制度趣旨も特定技能制度に近いものがありますので、必然と言えそうです。
育成就労制度の「転籍」の在り方
ポイント
・現行の技能実習制度において認められている「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・柔軟化される予定(まだ決定でないため、今後の動向をチェックする必要あり)
・本人希望による転籍の場合は、同じところでの就労期間が1年~2年を超えていることと、その他試験に合格していることなど、が要件になる予定。
最終報告書では、1年で転籍可能にするような記載があるが、最近の自民党には慎重論が強く、少なくとも2年とすることも可能にするような提言がされています。
組合(監理団体)や、受け入れ企業にしてみれば、短期転籍は、人材育成に大きな穴をあけてしまう重要な内容になっていると思います。
かと言って、外国人の人権や職業を選ぶ権利も必要になるため、難しい問題だと考えます。
育成就労制度の新たな許認可について
監理団体の方は必見となります。今回の改正で大きく変わる要素の一つである新たな許可制度になります。新しく、監理団体の許可を取り直す必要が出てきました。
要件の厳格化ともいわれていますので、かなり厳しくなる予定をされています。
特に厳しく見られそうなのが、
「外部監査による中立性の確保」
「財産基盤」
「職員の配置制限」
だと考えています。
特定技能制度に移行することも念頭に入れて、登録支援機関の登録は必須で行っておかないと、スムーズな移行による外国人の支援ができなくなる可能性もあります。
今回は、ここまでの内容を記事にしました。
また進捗があれば随時更新予定です。